熱中対策の基礎知識
WBGT(暑さ指数)とは?
WBGTはWet-Bulb Globe Temperature index(湿球黒球温度)の略称で、気温・湿度・輻射熱から算出される「暑さの指数」です。
日射のない場合
WBGT=0.7×湿球温度+0.3×黒球温度
日射のある場合
WBGT=0.7×湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度
黒球温度とは・・・発熱体や直射日光、地面からの輻射熱を含めて計測した温度のこと。体感温度と良い相関があります。
乾球温度とは・・・いわゆる空気の温度(気温)のこと。
なぜWBGT値?
例えば右の例では、気温は同じなのに湿度の違いでリスクが高まり、搬送者数が増えています。さらに現場では、溶鉱炉や機械といった熱源からの輻射熱で、大きくリスクが高まります。そのため、総合的な指標であるWBGT値が重要になります。
2011年7月6日と9日の例(東京)
7月6日 | 7月9日 | |
最高気温 | 32.5℃ | 32.5℃ |
最小湿度 | 41% | 56% |
日射量 | 24.82MJ | 24.07MJ |
WBGT | 26.9℃ | 29.9℃ |
暑さ指数ランク | 警戒 | 厳重警戒 |
熱中症搬送数 | 50人 | 94人 |
参考資料:環境省 熱中症予防情報サイトに基づき作成
WBGT値を測ってどうする?
01
WBGT値を「測る」
▼
測ったWBGT値が基準値を超過している場合、
状況に応じて休憩を取る、または作業を中止
状況に応じて休憩を取る、または作業を中止
・ WBGT基準値~1℃程度超過しているときには1時間当たり15 分以上休憩
・ WBGT基準値~2℃程度超過しているときには30分以上休憩
・ WBGT基準値~3℃程度超過しているときには45分以上休憩
・ WBGT基準値~上記以上の超過しているときには作業中止が望ましい
※暑熱順化した作業者の場合。暑熱順化してない場合は、上記より長い休憩等が望ましい。
※身体を冷却するベストの着用等、特段の予防対策を講じていない場合の目安。
参考資料:厚生労働省「令和3年 STOP!熱中症クールワークキャンペーン実施要綱」(令和3年4月30日改正)
02
作業環境を「冷やす」
▼
まず作業環境のWBGT値を下げる対策をします。
03
カラダを「冷やす」
上記対策を行ってもまだWBGT値が高い場合は、
目的に応じた冷却グッズを使用して体温の上昇を抑えます。
WBGT計はJIS適合品の使用が推奨されています。
電子式湿球黒球温度(WBGT)指数計規格「JIS B 7922」が制定されました。
WBGT値をより実用的に、かつ高い信頼性で測定するための計測器が対象となります。(制定日 平成29年3月21日)