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熱中症対策のポイント

STOP!熱中症クールワークキャンペーン

熱中症予防対策の徹底を図る

厚生労働省では、労働災害防止団体などと連携して、職場における熱中症の予防のために平成29年から「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」を展開し、重点的な取組を進めています。
各事業場においては、事業者、労働者が協力して、熱中症防止に取組みましょう!

暑くなる前から準備して、熱中症予防の徹底を図りましょう。

職場における熱中症による死傷者数の状況(2015~2024年)

職場での熱中症による死亡者及び休業4日以上の業務上疾病者の数(以下合わせて「死傷者数」という。)は、平成22年以降毎年400人を超え、令和6年(2024年)に1,195人となりました。うち死亡者数は30人。中でも、建設業・製造業の死傷者数が突出しています。

出典:厚生労働省「令和7年STOP!熱中症クールワークキャンペーン(職場における熱中症予防対策)」

準備期間(4月)中に実施すべき事項

熱中症予防のためには、暑くなる前から対策を検討しておくことが必要です。安全衛生委員会などで必要な対策を検討しておきましょう。

WBGT値(暑さ指数)の把握の準備

平成29年3月にJIS B 7922が定められました。特にデジタル式の熱中対策の測定器は精度にばらつきがあるため、熱中症のリスクが高い職場では、JISに適合した黒球温度計付きのWBGT測定器を準備しましょう。

作業計画の策定等

WBGT値など、状況に応じた作業の中止、休憩時間の確保など、夏期の暑熱環境下に対応した作業計画をあらかじめ策定しておきましょう。余裕を持った作業計画を立てましょう。

設備対策・休憩場所の確保の検討

簡易な屋根の設置、通風又は冷房設備、ミストシャワーなどの設置により暑さ指数を下げる工夫や、日陰などの涼しい休憩場所を確保できるように検討しましょう。

服装等の検討

透湿性及び通気性の良い作業着を準備しましょう。冷却機能のある作業着(クールベスト等)の導入も検討しましょう。

教育研修の実施

各級管理者、労働者を対象として、熱中症予防のための教育を行いましょう。

熱中症予防管理者の選任等

熱中症の予防を管理する責任者を選任するとともに、管理体制を整えましょう。

緊急時対応の事前確認等

体調不良時の搬送先病院の把握や緊急時の対応について確認を行い、労働者に周知しましょう。

キャンペーン期間(5月から9月)中に実施すべき事項 STEP1

[WBGT値(暑さ指数)の把握]

あらかじめ準備した、日本産業規格(JIS Z 8504又はJIS B 7922)に適合したWBGT指数計を使用し、WBGT値(暑さ指数)を随時把握しましょう。
なお、作業場所が近い場合でも、気温だけでなく輻射熱や湿度の違いなどによりWBGT値(暑さ指数)が大きく異なることがあるため、作業現場ごとにWBGT値を測ることが必要です。

※黒球温度計が付いていないなど日本産業規格に適合しない測定器では、屋外や輻射熱がある屋内の作業場所で、暑さ指数(WBGT)が正常に測定されない場合があるため、ご注意ください。

[WBGT値(暑さ指数)の評価]

職場における熱中症予防の目安として、作業内容ごとに熱中症になるおそれのあるWBGT基準値がまとめられています(下表)。「身体作業強度(代謝率レベル)」が高い作業ほど、WBGT値(暑さ指数)を下げて行う必要がありますので、WBGT値が下表の基準値を超え、または超えるおそれのある場合には、WBGT値(暑さ指数)の低減、休憩時間の確保などの対策を徹底しましょう。

[暑さ指数(WBGT)の評価と評価結果に基づく措置]

※下記PDFは、厚生労働省「令和7年「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」実施要綱PDF(全13ページ)より別紙「表1(p.10~11)」と「表2(p.12)」を抜粋したものです。

キャンペーン期間(5月から9月)中に実施すべき事項 STEP2

準備期間中に検討した事項を確実に実施するとともに、測定した暑さ指数に応じて次の対策を取りましょう。

[作業環境管理]

【WBGT値(暑さ指数)の低減等】準備期間中に検討した対策を実施しましょう。
【休憩場所の整備等】休憩場所には、氷、アイススラリー(流動性の氷状飲料)、冷たいおしぼり、水風呂、シャワー等の身体を適度に冷やすことのできる物品及び設備を設けましょう。また、水分及び塩分の補給を定期的かつ容易に行うことができるよう飲料水、スポーツドリンク、塩飴等の備付け等を行いましょう。

[作業管理]

【作業時間の短縮等】WBGT基準値を大幅に超える場合は、原則として作業を中止しましょう。WBGT基準値を大幅に超える場所でやむを得ず作業を行う場合は、次に留意して作業を行いましょう。

❶単独作業を控え、休憩時間を長めに設定する。
❷作業中は心拍数、体温及び尿の回数・色等の身体状況、水分・塩分の摂取状況を頻繁に確認する。

身体を冷却する服の着用をしていない等、特段の熱中症予防対策を
講じていない場合における「休憩時間の目安」

WBGT基準値からの超過1時間あたりの休憩時間
1℃程度15分以上
2℃程度30分以上
3℃程度45分以上
それ以上作業中止

暑熱順化していない作業者においては、上記よりもより長い時間の休憩等が望ましい。
(出典)米国産業衛生専門家会議(ACGIH)の許容限界値(TLV)を元に算出。

【熱への順化】7日以上かけて熱へのばく露時間を次第に長くしましょう。夏季休暇などの後も同様に順化期間が必要です。

【水分及び塩分の摂取】定期的に水分、塩分を摂りましょう。
【服装等】準備期間中に検討した服装を着用しましょう。
【プレクーリング】必要に応じて、作業開始前にあらかじめ深部体温を下げ、作業中の体温上昇を抑える「プレクーリング」を検討すること。体表面を冷却する方法以外にアイススラリー(流動性の氷状飲料)などを摂取して体内から冷却する方法などがある。

[健康管理]

【健康診断結果に基づく対応等】(1)糖尿病、(2)高血圧症、(3)心疾患、(4)腎不全、(5)精神・神経関係の疾患、(6)広範囲の皮膚疾患、(7)感冒等、(8)下痢等の疾病を有する労働者に対しては、医師等の意見を踏まえ配慮しましょう。
【日常の健康管理等】睡眠不足、前日の多量の飲酒などしないようにしましょう。当日の朝食はしっかり摂りましょう。
【労働者の健康状態の確認】管理者は作業開始前や作業中の巡視で労働者の健康状態を把握しましょう。複数作業では労働者同士がお互いの様子に注意しましょう。

[労働衛生教育]

熱中症の症状、熱中症の予防方法、緊急時の救急処置、熱中症の事例等について、管理者向け研修・雇入れ時、新規入場時の労働者向け研修を行いましょう。
※下記PDFは、厚生労働省「令和7年「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」実施要綱PDF(全13ページ)より別紙「表3(p.13)」を抜粋したものです。

[異常時の措置]

少しでも本人や周りが異変を感じたら、体温を測定し、必要に応じて、水分摂取や濡れタオルの使用等により体温を下げるようにし、平熱近くまで下がったことが確認できるまでは、一人にしてはいけません。症状に応じ、躊躇せず救急隊を要請する、病院に搬送するなどの措置をとってください。急に容体が悪化し死亡する事例が発生しています。

キャンペーン期間(5月から9月)中に実施すべき事項 STEP3

[熱中症予防管理者の業務等]

熱中症予防のための管理体制を確立し、管理者は次の業務を行いましょう。

  • 作業に応じてWBGT値(暑さ指数)基準値を決定し、着用する衣類に応じてWBGT値に加えるべき着衣補正値を確認
  • WBGTの低減対策の実施状況の確認
  • 各労働者の暑熱順化状況の確認と暑熱順化を実施
  • 朝礼時等作業開始前において労働者の体調および暑熱順化を確認
  • 作業場所のWBGT値の随時測定とその結果に応じて作業時間の短縮等を指示
  • 職場巡視による労働者の水分及び塩分の摂取状況を確認
  • 退勤後も体調に気を付けるよう注意喚起を実施

重点取組期間(7月)中に実施すべき事項

重点取組期間(7月)においては、特に以下の事項を徹底しましょう。異常を認めたときは、躊躇することなく救急隊を要請してください。

  • 水分・塩分を積極的に摂取する
  • 睡眠不足や体調管理に注意する
  • 重点的に教育を行う
  • 対策の効果を改めて確認し、必要に応じ追加対策を行う

当ページは厚生労働省から発信されている「令和7年「STOP!熱中症クールワークキャンペーン実施要綱」を要約しております。詳しくは厚生労働省のホームページをご確認ください。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000116133.html